抄録
酸素は地球上の主要な環境因子の1つであり、環境中の酸素分圧を感知し速やかに応答することは、細菌の生存に必須である。これまで、細菌からは様々な酸素あるいは活性酸素感知システムが見いだされ、生物がどのようにこれらの分子を認識しているかという点において、興味深い知見を提供してきた。酸素に対する応答機構は、主として通性嫌気性菌や好気的な細菌を対象として行われてきたが、近年は嫌気的な環境に棲息する細菌も酸素に応答することが明らかとなりつつある。今回紹介する乳酸菌も、嫌気的な細菌と見なされてきたため、これまで酸素との関係は十分に検証されてこなかったが、独自の好気代謝系や抗酸化因子を持つことが最近報告されている。本稿では、はじめに細菌における酸素および活性酸素認識メカニズムについて概説した後、乳酸菌の酸素応答機構について、筆者らの研究を中心に紹介する。