2011 年 22 巻 1 号 p. 38-48
乳酸菌の中には、バクテリオシンと称される抗菌性ペプチドを生産するものが存在する。乳酸菌バクテリオシンは、主にグラム陽性菌の生育を阻害し、発酵食品の保存性の向上に寄与していると考えられている。また、一般的な抗菌物質と比べて低濃度で高い活性を示す一方、ヒトの体内の消化酵素等で容易に分解されるため、耐性菌を誘導しにくく、安全・安心な抗菌剤として、食品保存をはじめ、医療や畜産分野などの多様な用途への利用が期待されている。本稿では、新奇乳酸菌バクテリオシンの迅速な探索およびその構造・特性の解析、さらには乳酸菌バクテリオシンの活用について、我々の取り組みを中心に紹介する。