日本乳酸菌学会誌
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総説
ヒト腸管モデルを利用した食品成分の機能性・安全性評価:神戸大学の取り組み
大澤 朗
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2016 年 27 巻 2 号 p. 93-100

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抄録

所謂「機能性」食品成分にはヒトの消化管からそのまま吸収されてヒトの健康維持や増進機能を発揮するもの、胃酸、消化酵素、胆汁あるいは腸内細菌叢等に暴露されて機能を発揮するもの、逆に機能が失われるものから有害となるものまで、その動態は実に多様である。したがって、実効する機能性を唱おうとするならば、その食品成分のヒト消化管内での動態を十分把握した上での機能性と安全性が評価されることが望ましい。しかしながら従来の培養細胞や実験動物を使った試験でそこまで評価することは難しく、だからと言ってヒト介入試験は倫理、経済的なハードルが高すぎて簡単に出来ない。このジレンマを打開すべく、筆者らはヒト腸管の免疫機構や細菌叢を模した「ヒト腸管モデル」を近年開発し、現在このモデルを使って既存・新規の食品成分の機能性・安全性の暫定評価を、ヒト介入試験に先立って行っている。本稿ではその取り組みの概要を紹介する。

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© 2016 日本乳酸菌学会
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