2021 年 32 巻 3 号 p. 123-128
我々はよく、「同じ目的のプログラムが多く存在し、どれを使えばいいのかよくわからない。」という感想を聞く。考えられる理由としては、多様な評価基準が挙げられる。例えば、同程度以下の性能であっても、従来法よりも高速であれば存在意義が認められる。また、同一群内の反復数が多い(または少ない)といった特定の条件下で効果的な発現変動解析手法もおそらく存在する。しかしながら、本当の意味で存在意義が疑われる手法も現実には存在する。おそらくこれは、比較対象が代表的な手法に偏っているためである。本稿では、なぜ疑わしい手法が存在しうるのかについて、RNA-seq 発現変動解析分野を例として筆者らの経験を交えて解説する。