日本乳酸菌学会誌
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遺伝子資源として,乳酸菌とその寄生因子の特殊性と有用性を展望する
土居 克実緒方 靖哉
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2000 年 10 巻 2 号 p. 72-89

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抄録

グラム陽性で低G+C含量DNAの乳酸菌はLactococcus属,Lactobacillus属,Streptococcus属,Enterococcus属など多数の属に分類される。その遺伝子資源としての特殊性と有用性は,染色体の他に,寄生因子であるバクテリオファージ,プラスミド,挿入配列,トランスポゾンなどにも求めることができる。とりわけ,Lactococcus lactis IL1403株の全ゲノムシークエンスプロジェクトの完成によって,乳酸菌の未利用や潜在性遺伝子の利用・開発が一層活発になるであろう。また,ファージやプラスミド上にも有用遺伝子が座乗しており,特に,乳製品製造やサイレージ調製時に深刻な問題となるファージ汚染の対策のために,様々なファージ防御に関する遺伝子がファージとプラスミド上から同定され,そのいくつかは特許化されている。本稿では,乳酸菌の遺伝子資源のいくつかについて紹介し,次世紀へ向けての利用・開発を展望する。

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