抄録
北欧の伝統的な粘質発酵乳Langfilのスターターカルチャーから分離したLactococcus lactissubsp.1株およびLactococcus lactis subsp. cremoris H12株へのTrp-P-1の結合lメカニズムを解析した。両菌株とも, 細胞とTrp-P-1との結合はpHにより影響を受け,pH 5-6で最も強くなったが, pH5未満およびpH6以上では弱くなった。Hl株およびH12株の細胞表面の荷電量をコロイド滴定により測定した結果,両株いずれも等電点はpH1.7であったが,pH1.7よりもpHが上昇すると細胞の陰性電荷が増加した。Trp-P-1のpKaは,7.7であった。以上の結果からH1株およびH12株へのTrp-P-1の結合メカニズムは陽イオン交換作用によるものであると推定した。