2000 年 11 巻 2 号 p. 74-78
Lactobacillus casei ATCC 27092株を宿主とするPL-1ファージを吸着するが,その感染を受けない変異株(YIT 9021)の幾つかの性質を調べた。変異株はファージを正常に吸着したが,ファージ感染菌(抗ファージ血清処理で残存するファージ感染中心価)は僅かしか形成されなかった。野生株に溶菌を起こす高い感染重度でファージを感染させても変異株の溶菌は起こらなかった。ラムノース法によるファージの変異株への不可逆的吸着過程を追跡すると,野生株の場合に比較して,不可逆的吸着は著しく抑えられた。ファージDNAの変異株プロトプラストへのトランスフェクションの効率は野生株の場合の100分の1以下であった。これらの結果は,YIT 9021株の場合,PL-1ファージのゲノムDNAの細胞内への注入が抑えられると云う以前の見解を支持した。