抄録
本研究は、湧水・井戸につながる水の経路(水みち)を探り、その実態を把握することで湧水・井戸、浅層地下水を保全していくことを目的とし調査研究を行った。東京都昭島市及びその周辺の拝島段丘を調査地とし、既存の市民調査で示されていた「水みち」の存在についてイオン組成比を用いて化学的検証を行い、今後の市民環境科学の発展に資するものとした。本研究により、大きな水みちの存在が実測により裏付けられ、同時に浅層地下水の汚染が明らかとなった。
また、地下水保全には周辺住民の認識・協力が不可欠であり、本研究では地下水の化学的側面からだけではなく、文化や歴史をも通して井戸や湧水の大切さを見つめる意義を考え、それを広く伝えていく手法を検討した。