JSL漢字学習研究会誌
Online ISSN : 2432-1974
Print ISSN : 1883-7964
発表要旨
非漢字系日本語学習者の漢字学習に対する動機づけの変化
来日直後から初級終了レベルまでの縦断的インタビューから
伊瀬知 史子
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 17 巻 p. 73

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抄録
本研究では日本での就職を目指す非漢字系日本語学習者(以下、非漢字系学習者)における漢字学習の動機づけの変化と変化に影響を与えた要因について分析を行った。まず、日本語学校に通う非漢字系学習者1名に対し、来日後から初級終了レベルまでの期間、漢字学習の動機づけについて縦断的インタビューを実施した。インタビューにより得られた語りはSCAT(Steps for Coding and Theorization)を用いて分析した。その結果、非漢字系学習者 は来日前から来日直後は漢字自体が面白いなどの内発的動機づけが中心であったが、日本で漢字学習の有用性を感じる経験を積むにつれて「日本語で漫画を読めるようになるため」、「会社で日本語を使って良い仕事をするため」、「日本語力向上のため」、「日本語の本当の意味を理解できるようになるため」という外発的動機づけが中心になっていくことが明らかになった。これらのように外発的動機づけでも、漢字学習の価値が自己に統合された動機づけが中心であると、漢字学習に対し、高い動機づけが維持されることもわかった。本発表後の質疑応答では、非漢字系学習者の経験についての補足や、分析の観点についての意見交換を行った。
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© 2025 著者

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