日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第10回日本ロービジョン学会学術総会
セッションID: P101
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ポスター第1会場
遮光フィルタによる色刺激の輝度変化
*田中 恵津子小田 浩一
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抄録


【目的】まぶしさに対する有用な補助具として遮光フィルタがある。効果の背景には、短波長成分をカットし眼球内の散乱光を低減させることがよく知られている。同時に遮光フィルタの波長透過特性は視対象の分光特性と相互作用して視対象の輝度や背景との輝度コントラストの変化を導き視認性に影響する。本研究では遮光フィルタなし/ありで色見本の輝度と輝度コントラストが実際にどう変化するかを観察した。

【方法】財団法人日本色彩研究所製作JIS色名帳(高彩度編)の色見本25種類を、色評価用蛍光ランプ(FLR20SW/MA)を光源として照明し、遮光フィルタ(東海光学CCP YL)を通した条件と通さない条件で輝度測定した。測定には、Minolta製LS-1100を使用し、輝度値は5計測値の平均をとった。

【結果と考察】遮光フィルタによる輝度変化(比率)は、青(5B, 10B)は0.56-0.63、紫(5P, 7.5P, 10P)は0.79-0.84、赤(2.5R, 7.5R, 10R)は0.78-0.80、黄色(5Y, 7.5Y, 10Y)は0.67-0.71、緑(5G, 10G)は0.53-0.57、白(背景色)は0.63であった。遮光フィルタの透過特性を反映して青や緑色系統の輝度低下が他の色より大きかった。白背景に対するコントラストの変化をMichelsonコントラストで比較すると、25色中青?緑の8刺激で最高6.0%の上昇がみられ、残りの17刺激では0.14(黄緑)-8.5%(赤)の低下がみられた。平均輝度はフィルタなしでは92.51±13.3、ありでは59.4±9.3cd/m2であった。

【結論】遮光フィルタによる視対象の輝度変化として、(1)平均輝度の低下、(2)青、緑色の顕著な輝度低下、(3)青-白や緑-白のコントラストの上昇、赤-白のコントラスト低下が確認された。

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© 2009 日本ロービジョン学会
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