抄録
Narrow Band Imaging(NBI)は,RGBの光学フィルターの帯域を制限することにより,粘膜表面の微細な構造をコントラスト良く画像化するシステムである.ヘモグロビンが,青色の光に対して強い吸収特性があることを利用し,青色の狭帯域の光を照射することにより,粘膜表面の微細構造,特に毛細血管を明瞭に描出することが可能になる.NBIを組み合わせた高解像度気管支ビデオスコープの観察では,気管支squamous dysplasiaにおける蛇行した血管網の増生,錯綜に加え,angiogenic squamous dysplasiaでは点状血管の描出および扁平上皮癌においては,腫瘍表層へ立ち上がってくる様々な太さの螺旋型あるいはスクリュー型の新生腫瘍血管を観察した.これらは癌の進展と関連して増大しており,気管支鏡下における扁平上皮癌の多段階発癌過程におけるangiogenesisを描出していると考えられる.