日本レーザー医学会誌
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原著
新規な有機シリカナノ粒子の作製と光線力学的治療への応用
中村 教泰石村 和敬
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2009 年 30 巻 4 号 p. 394-398

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抄録

光線力学的治療に用いる光感受性物質をナノサイズのキャリアーに取り込ませナノ粒子化することにより様々な有用性が得られると考えられている.新規なナノ粒子である有機シリカナノ粒子を作製し,従来型シリカ粒子と比較すると共に光線力学的治療への応用を検討した.有機シリカナノ粒子は一段階の反応にて作製でき,サイズ制御,分散性も良好であった.粒子は作製した時点で表面ならび内部にチオール基などの官能基を有しており,内部機能化としてローダミンなどの蛍光色素が効率良く粒子内に取り込まれ蛍光有機シリカナノ粒子の作製も可能であった.表面機能化として粒子表面に抗体,アビジンなどのバイオ分子の吸着や化学修飾剤を用いた結合が容易であり,粒子の多機能化において高い発展性が認められた.また蛍光有機ナノシリカ粒子をマウスへ経静脈投与または腹腔内投与を行なったが明らかな毒性は認められなかった.さらに光感受性物質を含有した有機シリカナノ粒子を取り込んだ培養細胞に励起光を照射することにより細胞の形態変化が確認でき,ナノ粒子による細胞障害活性を示唆する所見が得られた.

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© 2009 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
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