日本レーザー医学会誌
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血管内レーザー焼灼術の対象症例,照射法
血管内レーザー焼灼時のレーザー光・生体組織相互反応と焼灼後静脈の治癒経過
佐藤 彰治
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2016 年 37 巻 2 号 p. 159-164

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抄録

一次性静脈瘤の治療法としてのレーザー焼灼術は,近年広く受けいれられてきた.レーザー光と生体組織の相互反応は複雑であり,まだ不明な点を残すが,理解を深める事でレーザー焼灼術のパラメーターの適切な選択が可能となり,副作用の低減,治療の安全性・成績向上につながる.

本邦において主流である波長1470 nm ダイオードレーザーと2-ring radial fiber(2リングRF)で治療した焼灼静脈の超音波断層検査では,静脈内腔の血栓量が非常に少ない.著明な壁肥厚と径の縮小により狭小化した内腔には血流は認めず,代わりに内腔中央に低エコー輝度で易圧迫性の超音波断層像を認めた.この低エコー輝度部はおよそ3~6 か月間継続し,その後全体の線維化に同化され消失した.

波長1470 nm の組織における光減衰率は高く,これを2リングRF と組み合わせることにより,少ないエネルギーで静脈壁に全周性・内膜全層に及ぶ熱損傷を起こし,新たな血液の流入路は絶たれるため血栓は形成されず,加えて熱損傷程度も比較的軽いため創傷治癒反応もゆっくり進行する.

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