2017 年 38 巻 2 号 p. 153-157
歯科領域で頻用される半導体レーザーは,波長810 nm のものである.その波長特性は水分に影響されず,色の濃い物質に吸収され温熱効果を発現することである.理論的には生体に照射すると表層を透過し深部にまで達する.しかしチップ先端で生じる連続する乱反射により,チップ自体も高熱を発する.したがって組織がファイバーと接触すると,レーザーが組織に吸収され発熱する以前にチップの熱が先に組織に伝導し,切開や蒸散が発現する.装置は小型・軽量・省電力で,石英ファイバーにて導光されるのが一般的である.軟組織切開に頻用され,特に歯肉の細かい整形性に優れる.また低出力時においては治癒促進や疼痛緩和作用が発現する.以上を踏まえ,本稿では歯周治療における半導体レーザーの現状と可能性について考察する.