抄録
高齢や重篤な合併症を有するために外科手術不能な食道表在癌17例に光線力学的治療 (PDT) を施行した。PDTはHpD投与48時間後にArgon-Dye laserないしはExcimer-Dye laserを病巣1cm2あたり100Joule照射した。
13例で1回目のPDTで癌巣は消失したが, 4例で癌遺残が認められ, このうち3例に再PDTで癌は消失した。残り1例は癌遺残のままリンパ節転移で死亡した。17例中4例が死亡した。2例はリンパ節転移で, 他の2例は他臓器癌と肺炎で死亡した。癌遺残がみられた症例は病巣の大きいもの, 深達度がsm以上と思われるものであった。PDTの合併症はいずれも軽症であった。
以上から, 食道表在癌に対するPDTは, 小さなm癌であれば, 大変効果的であると判断された。