近年, 子宮頚部上皮内癌や異形成の頻度は, 若年婦人の間に増加傾向が見られるようになった。このような若年患者の大部分は, 妊孕性の温存を目的とした治療法を希望し, また一部, 手術不能患者や手術を拒否する患者もある。保存的治療として, 従来の円錐切除術と同様に, CO
2, YAG等の高出力Laser療法は, 思わぬ出血を来すこともあり, 妊娠・分娩に重要な要素を持つ, 子宮頚管腺の消失も大きい。
低出力でpuise Laserの一種であるExcimer Dye Laser (EDL) を用いたPDT療法は, Argon Dye Laser (ADL) によるPDTと比較し, 組織深達度が高い特徴がある。しかも正常組織への障害を最小限にし, 主として腫瘍細胞のみを治療する腫瘍特異的治療法として注目されている。さらには, 治療中も全く出血することなく, 痛みも無く, 無麻酔下で行える利点がある。
現在まで, 43例にPDTを施行した。
腫瘍親和性光感受性物質であるPorfimer sodium (PHE) を静注後 (2mg/kg), 48時間後に, レーザー照射している。
今回, 我々は, 上皮内癌27例, 異形成16例を対象とし, 43例中42例 (97.67%) のCR, 1例のみNCの結果を得た。最初のCRの症例は4年を経過しており, 再発例もない。
PDT療法は,初期子宮頚癌に対する妊孕性の温存療法として最も適した治療法と考えられる。
今後さらに照射法の検討, 腫瘍親相性光感受性物質の選択, その投与量, 投与法の改善によって遮光時間を短縮し, 出血もなく痛みもない, 副作用を最小限にしたより確かな治療法となると思われ、子宮頚癌治療における患者や医師に明るい未来を約束している言っても過言ではない。
抄録全体を表示