日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
Print ISSN : 0288-6200
ISSN-L : 0288-6200
15 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 吉田 和彦, 岡部 紀正
    1994 年 15 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下胆嚢摘出術 (LC) においてはコンタクトタイプのNd-YAGレーザーが広く用いられている。今回, われわれはフック型コンタクトチップを装着したNd-YAGレーザーを6例のLCに用い, 良好な成績を収めたので報告する。従来の直線型チップと比較して, フック型チップは胆嚢床からの胆嚢を切離する過程で, 安全で容易な操作が可能であった。また術中ならびに術後に合併症の発生を認めなかった。フック型コンタクトチップを装着したYAGレーザーはLCにおいて有用な器具になると考えられた。
  • 山田 裕道, 小川 秀興
    1994 年 15 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    顔面神経麻痺の6例 (不全型Hunt症候群2例, Bell麻痺3例, 外傷性顔面神経麻痺1例) に対して, 麻痺側顔面, 星状神経節領域および茎乳突孔に低反応レベルレーザー照射治療を施行した。照射後には顏面皮膚温の上昇を認めた。麻痺の改善度は顔面神経硯究班提唱の麻痺程度評価スケール (柳原法) にて判定した。毎日治療を行なった4例については, 5~6週で略治癒を認めた。通院治療の1例においては著明改善, 転院のため2週しか治療できなかった1例ではわずかに改善を認めた。またレーザー照射によると思われる副作用は認められなかった。病初期から十分な治療を行なえば, 低反応レベルレーザー照射治療は顔面神経麻痺に対して極めて有用であることが示唆された。
  • 楠 洋子, 梁 尚志, 高田 実, 瀧藤 伸英, 福岡 正博
    1994 年 15 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    1986年1月から1993年9月までに, 胸部レントゲン写真無所見のいわゆるroentgenologically occult lung cancer (ROLC) の48例, 59病巣に対し, hematoporpyrin誘導体 (HpD) を併用したphotodynamic therapy (PDT) を施行した。組織型は, 肺原発唾液腺型悪性混合腫瘍の1例を除いて全例偏平上皮癌であった。25病巣にargon dye laser (ADL) を, 34病巣にexcimer dye laser (EDL) を施行した。初回治療によるcomplete response (CR) は59病巣中35病巣 (59.4%)であった。CR導入因子と再発に関与する因子を検討するために, 内視鏡所見, 腫瘍表面の性状, 深達度, 腫瘍長径, 病巣部位およびPDTの光源等について検討した。CR導入には腫瘍長径が10mm以下であること (p<0.01)、また再発に関しては腫瘍長径が5mm以上のもの (p<0.01) が有意な因子であった。これらは多変量解析においても同じ結果であった。disease specific survivalの5年生存率は75.5%であった。WHO分類のgrade 2以上の副作用としては, HpDによる日光過敏症が2例 (4.2%), 肝障害が1例 (2.1%) に見られたが一過性のものであった。またレーザー照射による気管支炎症状や閉塞性肺炎は7例 (14.6%) に見られたが可逆性であった。grade 3以上の副作用は見られなかった。ゆえにPDTはROLCに対し有効でかつ安全な手段と思われる。今後手術治療との比較検討が必要と考えられる。
  • 奥仲 哲弥, 加藤 治文, 小中 千守, 土田 敬明, 日吉 利光, 勝海 東一郎, 原田 匡彦, 筒井 英光, 司馬 清輝
    1994 年 15 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    レーザーならびに内視鏡の開発は急速で, 最近ではレーザーと内視鏡を併用した療法が, 新しい癌治療法として確立されつつある。中でもフォトフリンを光感受性物質として用いた光線力学的診断治療法 (PDT) の有効性は, 我々の教室において1979年以来, 肺癌の治療を中心に示されており, この新しい治療に対する関心はますます高まっている。過去10余年, 202例 (243病巣) の中心型早期肺癌患者に対してPDTを施行し, 内訳は男性188例, 女性14例で, 年齢分布は36~85歳であった。臨床病期は早期癌59例, I期26例, II期10例, III期80例, IV期24例であった。治療効果は, 全体で完全寛解 (CR) が92病巣 (37.9%) に得られ, 部分寛解 (PR) は148病巣 (60.9%), 無効 (NR) は3病巣 (1.2%) であった。また, 59例 (69病巣) の早期癌に対する治療成績では, CRが38例45病巣65.2%に得られ, 現在41例51病巣が1~152ヶ月disease freeである。気管支閉塞病巣の開口を目的とする症例における成績は, 有効例が61病巣 (75%), 無効例が20病巣 (25%) であった。また, Tis, T声帯癌症例に対しては, 9例中8例にCRを得た。
  • 三村 征四郎, 大谷 透, 奥田 茂
    1994 年 15 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    早期胃癌の光化学治療における照射光を, 持続波のアルゴンダイレーザーからパルス波のエキシマダイレーザーに代えたところ治療成績が改善された。アルゴンダイレーザーによる局所治癒率はm癌22病巣中13個 (59%), sm癌15病巣中8個 (53%), 計37病巣中21個 (57%) であった。これに対しエキシマダイレーザーでは, 局所治癒率はm癌13病巣中13個 (100%), sm癌7病巣中6個 (86%), 計20病巣中19個 (95%) であった。これは, パルス波レーザーの効果が深部にまで及ぶからであり, 400kWと云う極めて高いピーク出力に負うところが大であると考えられた。
  • 鈴木 茂, 吉田 一成, 勝呂 衛, 中村 英美, 林 一彦, 村田 洋子, 井手 博子, 奥島 憲彦
    1994 年 15 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    高齢や重篤な合併症を有するために外科手術不能な食道表在癌17例に光線力学的治療 (PDT) を施行した。PDTはHpD投与48時間後にArgon-Dye laserないしはExcimer-Dye laserを病巣1cm2あたり100Joule照射した。
    13例で1回目のPDTで癌巣は消失したが, 4例で癌遺残が認められ, このうち3例に再PDTで癌は消失した。残り1例は癌遺残のままリンパ節転移で死亡した。17例中4例が死亡した。2例はリンパ節転移で, 他の2例は他臓器癌と肺炎で死亡した。癌遺残がみられた症例は病巣の大きいもの, 深達度がsm以上と思われるものであった。PDTの合併症はいずれも軽症であった。
    以上から, 食道表在癌に対するPDTは, 小さなm癌であれば, 大変効果的であると判断された。
  • コルポ診, 細胞診, 組織診における変化を含めて
    室谷 哲弥, 馬屋原 健司, 功刀 孝也, 作永 穂高, 坂本 優, 杉田 道夫, 杉下 匡, 天神 美夫
    1994 年 15 巻 1 号 p. 41-52
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    近年, 子宮頚部上皮内癌や異形成の頻度は, 若年婦人の間に増加傾向が見られるようになった。このような若年患者の大部分は, 妊孕性の温存を目的とした治療法を希望し, また一部, 手術不能患者や手術を拒否する患者もある。保存的治療として, 従来の円錐切除術と同様に, CO2, YAG等の高出力Laser療法は, 思わぬ出血を来すこともあり, 妊娠・分娩に重要な要素を持つ, 子宮頚管腺の消失も大きい。
    低出力でpuise Laserの一種であるExcimer Dye Laser (EDL) を用いたPDT療法は, Argon Dye Laser (ADL) によるPDTと比較し, 組織深達度が高い特徴がある。しかも正常組織への障害を最小限にし, 主として腫瘍細胞のみを治療する腫瘍特異的治療法として注目されている。さらには, 治療中も全く出血することなく, 痛みも無く, 無麻酔下で行える利点がある。
    現在まで, 43例にPDTを施行した。
    腫瘍親和性光感受性物質であるPorfimer sodium (PHE) を静注後 (2mg/kg), 48時間後に, レーザー照射している。
    今回, 我々は, 上皮内癌27例, 異形成16例を対象とし, 43例中42例 (97.67%) のCR, 1例のみNCの結果を得た。最初のCRの症例は4年を経過しており, 再発例もない。
    PDT療法は,初期子宮頚癌に対する妊孕性の温存療法として最も適した治療法と考えられる。
    今後さらに照射法の検討, 腫瘍親相性光感受性物質の選択, その投与量, 投与法の改善によって遮光時間を短縮し, 出血もなく痛みもない, 副作用を最小限にしたより確かな治療法となると思われ、子宮頚癌治療における患者や医師に明るい未来を約束している言っても過言ではない。
  • 内藤 克輔, 久住 治男
    1994 年 15 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    表在性膀胱癌に対する, ヘマトポルフィリン誘導体とアルゴン色素レーザーを用いた光力学的治療法 (photodynarnic therapy, PDT) の二つの方法の結果について報告した。明らかな腫瘍部以外の正常に見える膀胱粘膜に上皮内癌 (CIS) やdysplasiaを随伴しない22症例の60腫瘍に対してレーザー光を直接照射するfocal PDTを施行した。大きさが1cm以下の16腫癌中15腫瘍において, 100ないし250J/cm2 の照射治療にて完全消失が認められた。大きさが2cmまでの腫瘍に対してはアルゴン色素レーザーの照射エネルギー量は100J/cm2 は必要である。大きさが2cm以上の腫瘍においては腫瘍の完全消失は認められなかった。種々の治療に抵抗性の40症例, 特にCISを有する症例に対して, レーザー光を膀胱内全照射するintegral PDTを施行した。10ないし30J/cm2の照射量を用いた。治療後3ヵ月の効果判定にて, 40例中29例 (72.5%) に完全緩解が, 5例 (12.5%) に部分緩解が認められた。完全緩解が得られた29例中9例においては, 5ヵ月より84ヵ月, 平均15.8ヵ月間再発が認1められていない。本療法施行後3ヵ月間は,治療前より膀胱容量が低下していた2例を除いて, 排泄性尿路造影法にて水腎症等は認められなかったが膀胱容量が150ml以下に低下した。integral PDTは膀胱のCISの治療として有用であると思われた。
  • 米沢 卓実, 小野村 敏信, 大植 睦, 市村 善宣, 阿部 裕輔, 井街 宏, 佐野 浩二, 中井 益代
    1994 年 15 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 15 巻 1 号 p. 67-69
    発行日: 1994年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top