抄録
CO2レーザーやNd: YAGレーザーは, 止血を伴った優れた軟組織の蒸散効果により, 産婦人科の分野でも子宮頸部初期癌の治療において広く利用されている. 近年, 子宮頸癌のなかでも初期病変の占める割合が増加傾向にあり, また, 出産年齢の高齢化と相まって, 妊孕性温存を目的とした子宮温存手術の必要性が高まってきている. 1989年より我々は子宮頸部初期病変に対してレーザー療法を行ってきた. その適応基準として, 原則的には中等度異形成および高度異形成についてはCO2レーザー蒸散術を, 上皮内癌とI a 1期の微小浸潤癌についてはNd: YAGレーザー円錐切除術を行っている. 本稿では, 我々の行っているレーザー治療の実地手技のポイントを解説し, その成績および妊娠合併症例の治療について報告する.