日本レーザー医学会誌
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体位変換に伴う脳内ヘモグロビン濃度の変化
石塚 雅治
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2000 年 21 巻 3 号 p. 185-200

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抄録

近年, 人の脳血流の自動調節に関して, 近赤外分光分析装置 (NIRS) を用いることによって, 秒単位の反応を測定することが可能となった. この近赤外分光分析装置を用いて, 安静仰臥位と80度傾斜の立位でのヘモグロビンの濃度血圧と心拍数の変化を測定した. 比較のために, 対象群を11名の急性心筋梗塞患者群, 6人の脳梗塞患者群, 7人の脊髄小脳変性症患者群と10人の健常成人群の4群に分けた. 測定の結果, 体位変換による急性心筋梗塞患者群の酸素化ヘモグロビン (以下酸素化Hb) 濃度の変化は健常成人群と同様の変化を示したが, 体循環の目安である血圧・心拍数の変動が少なく, 薬剤によるものと考えられた. 一方, 脳梗塞患者群と脊髄小脳変性症患者群の心拍数の変化は健常成人群と同様な変化を示したが酸素化Hb濃度は体位変換による変化を示さなかった. 以上から体位変換による脳内Hb濃度を測定することにより, 近赤外分光分析装置を用いて脳循環の異常を検出することが有用であることを示唆した.

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