日本レーザー医学会誌
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口腔外科領域疾患に対するKTPレーザーの使用経験
石井 準之助藤田 邦夫藤盛 真澄陳 明裕飯塚 譲二古森 孝英
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2000 年 21 巻 3 号 p. 201-207

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抄録

われわれは1979年以来, CO2レーザーやNd: YAGレーザーを用いて顎・顔面口腔外科領域の疾患に対して治療を行い, これまでに400例以上の経験がある. しかしながら, これらのレーザーはその波長の違いから, 必ずしも同一疾患に対して適応があるとは限らない.
そのため, 1995年9月から1999年11月までの間に, KTPレーザーにて治療を行った顎・顔面口腔外科領域の疾患40例について臨床評価を行った.
こられの症例の内訳は, 悪性腫瘍16例 (扁平上皮癌14例, 基底細胞癌1例, 舌転移性腎癌1例), 白板症14例, 良性腫瘍5例 (線維腫3例, 血管腫1例, 乳頭腫1例), 歯肉増殖症2例およびその他であった.
これらの治療の大半は切開 (10W) による方法が行われたが, 3例は蒸散 (15W), 血管腫の1例のみは凝固 (1.5W) が行われた。
KTPレーザーは口腔のあらゆる部位に照射でき, 操作性に極めて優れていることが確認された。KTPレーザーによる治療は術中の出血を十分にコントロールできた. そのため, 病変を一層よく明示できるため確実に切除できるとともに, 創の縫合の必要がないため手術時間が短縮できた.
しかしながら, 褐色の防御メガネは彌爛や発赤を伴った口腔粘膜の病変と正常枯膜との境界を不明瞭にした. さらに舌や頬粘腹の病変で切除が筋層におよぶものでは, 術後7日あるいはそれ以上経ってから出血を認めたものもあり, 術後出血に対する十分な管理が必要であると思われた.

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