昭和医学会雑誌
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唇裂・口蓋裂における合併奇形
伊藤 芳憲
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1985 年 45 巻 3 号 p. 339-351

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抄録
昭和大学病院 (昭和45年~59年) , 熊本機能病院 (昭和56年~59年) , 聖アリア病院 (昭和54年~59年) , 以上3施設の形成外科を, 上記期間中に受診した唇裂・口蓋裂患者3425例を対象として, 唇裂・口蓋裂における合併奇形について調査を行った.他種奇形の合併率は6.98%で, これを裂型別にみると, 唇裂3.29%唇口蓋裂6.84%, 口蓋裂18.63%で口蓋裂単独のものにおいて, 最も高率な値となった.これらの中より粘膜下口蓋裂を集計した結果, 他種奇形の合併率は37.29%と非常に高率であった.また, これらの合併奇形のうちで多くみられたものは, 先天性心疾患, PierreRobin症候群, 臍・鼠径ヘルニア, 耳介奇形, 四肢奇形, 精神発達遅滞, 舌小帯癒着症, 他の顔面裂 (巨口症, 斜顔面裂) であった.さらに, すでに調査され発表されている発生頻度と比較して, 明らかに高率であったものは, 先天性心疾患, Pierre Robin症候群, 四肢奇形, 小耳症, 巨口症, 斜顔面裂であった.先天性心疾患, 四肢奇形, 小耳症については, 口蓋裂唇口蓋裂, 唇裂の順に合併率が高く, 他種奇形全体における合併率の順位と同様の結果を得た。
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