抄録
血圧と体組成の関係を23-58歳の某工場従業員2086名について検討した.身長, 体重, 胸囲, 腹囲, 身体3カ所の皮脂厚, 収縮期血圧, および拡張期血圧が測定された.体脂肪量と除脂肪体重はOhnakaの体脂肪比率予測式により推定された.さらに, 腹囲と胸囲の比が腹部の脂肪の分布の指標として計算された.またQuetelet's Indexが体格指数として算出された.
血圧と身長以外の各変数との間で有意な相関が存在したが, 血圧との相関が最も高かったのは体脂肪量であった.血圧と体組成の関係を体重を体脂肪量と除脂肪体重に分けて検討した.さらに, 体脂肪の分布の血圧への影響について検討する為に, 血圧を目的変数, 体脂肪量, 除脂肪体重および腹囲と胸囲の比 (腹胸比) を説明変数とする重回帰分析を行なった.偏相関係数の最も高かったのは体脂肪量であり, 最も低かったのは除脂肪体重であった。さらに, 体脂肪量と腹胸比は血圧との間に正の相関が認められたのに対して, 除脂肪体重は血圧と負の相関が認められた.これらの結果は, 血圧が身体の大きさそのものよりも体脂肪量によって影響されること, さらに体脂肪の分布によっても影響されることを示唆している.