昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
コレステロール負荷ウサギの高脂血症ならびに動脈硬化症に対するClinofibrateの作用
中山 貞男栗島 秀行大泉 高明小林 賢次坂本 浩二
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 48 巻 3 号 p. 363-368

詳細
抄録

コレステロール負荷により誘発したウサギの高脂血症ならびに動脈硬化症に対するclinofibrateの作用を検討した.被検薬物は1%コレステロール飼料 (HCD) に0.2% (w/w) 添加した混餌飼料として, 1日1回1009/匹を与え16週間飼育した.飼育2週毎に耳静脈より採血し, 血漿脂質の測定を行った.16週間後には肝を摘出し肝脂質の測定を行い, 大動脈の形態変化を肉眼的あるいは走査電子顕微鏡 (SEM) を用いて観察した.体重増加と飼料摂取量は対照, HCD, clinofibrate添加の各群で差を認めなかった. Clinofibrateは飼育6~10週にHCD群を上まわる総コレステロール (TC) , リン脂質 (PL) , 遊離コレステロール, 中性脂肪の増加を示し, 総脂質もこれら脂質の増加に関連して増加した.高密度リボ蛋白中のTCはHCD群で飼育6~16週に増加傾向を示したがclino丘brateは影響を示さず, PLも明らかな変化を示さなかった.Atherogenic indexはHCD飼育によるTC, PLの増加で上昇した.Clino丘brateはHCDを上回るatherogenic indexの上昇を示した.胸部大動脈の肉眼的観察ではclinofibrateはHCD以上の内腔表面への脂肪沈着を示した.大動脈弓部内腔表面構造のSEMによる観察では, HCD飼育で対照に比較して山波形構造が膨化し, 内皮細胞核が溝を埋めるような形態変化を示した.ClinofibrateはHCD飼育による形態変化を抑制せず, 山波形構造が不鮮明となり, 肥厚平坦化した内腔表面像を認めた.コレステロール負荷によるウサギの高脂血症ならびに動脈硬化症に対してclino丘brateは改善作用を示さなかった.

著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top