抄録
マウスマクロファージ様株化細胞J774.1は, 培養液中に分化誘導因子 (DIF) を自発的に産生していた.この培養上清を種々のヒト骨髄性白血病細胞 (ML-1, U-937, HL-60) に添加すると, 増殖能が低下し, 単球/マクロファージ様に形態変化した.さらに機能的マーカーであるFcリセプター, どん食能および単球/マクロファージのマーカー酵素であるnonspecific esteraseをも誘導した.このDIFの大半の活性は, ヒト組換え型TNFのmonoclonal抗体により中和されることより, J774.1細胞が分泌するDIFはTNFである可能性が示唆された.次に, 松かさ熱水抽出多糖分画のJ774.1細胞によるDIFの産生に及ぼす影響を調べた.中性多糖 (Fr.I) はDIF誘導促進活性はなかった (ED50>1000μg/ml) .酸性多糖分画のDIF産生促進活性は, それらの酸性度に応じて増加した (Fr.II (ED5034μg/ml) , Fr.V (ED50<3μg/ml) ) .また, 熱水抽出残渣より1%NaOHで抽出された多糖分画Fr.VI-IXD (の中でも, 特に酸沈殿により回収された分画Fr.VIに強い活性が回収された (ED50<3μg/ml) .これらの酸性多糖は, 同様にJ774.1細胞による細胞傷害性因子の産生をも増加させた.松かさ酸性多糖の制癌活性は, 恐らくマクロファージの活性化に伴うDIF/TNFの産生促進と関係があるものと思われる.