昭和医学会雑誌
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Dual Energy X-ray Absorptiometryによる骨量測定法を用いた骨粗鬆症の研究
染谷 操
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1992 年 52 巻 2 号 p. 164-177

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抄録
DEXA法 (Hologic社QDR1000) による骨量測定法を用い, 健常人骨塩量の加齢的推移, 骨折閾値, 従来の単純X線像による骨量評価法の妥当性, 骨粗鬆症の危険因子である体格と閉経, 骨塩量と血中骨代謝マーカーの関係について定量的に評価・分析を行い, 骨粗鬆症の診断・予防について客観的に検討・考察をした.健常人の腰椎骨塩量において, 男性は20歳代, 女性は30歳代で最大骨塩量 (peak bone mass) を示し, 女性は男性に比べ50歳代から60歳代にかけて, すなわち閉経期を境に急激な骨塩量減少を示した.一方, 大腿骨頸部骨塩量では, 男女とも20歳代でpeak bone massを示し, 以後加齢に伴う緩徐な骨塩量減少であり, 全年齢を通じ女性は男性に比べ低い骨塩量であった.脊椎圧迫骨折群では, 骨折群L2-L4 BMDの90%teilから骨折閾値を求めるとL2-L4BMD0.7569/cm2であった.大腿骨頸部骨折は, 80歳代の大腿骨近位部骨塩量が骨折閾値に相当していた.厚生省シルバーサイエンス研究班による脊椎X線像による骨萎縮度分類の骨量評価妥当性を調べたところ, 実際の骨塩量をよく反映していた.Singh分類では骨塩量減少の程度はよく表わしているが, 著しく骨塩量が減少したものでは評価できにくいという結果を得た.骨粗鬆症の危険因子において, 閉経に関する調査では, 腰椎は閉経前からの骨塩量減少率は, 10年目では21.0%, 大腿骨頸部は, 10年目では13.2%であり, 腰椎は閉経の影響を強くうけ, 大腿骨頸部では閉経の影響をうけにくいことがわかった.体格に関しては, 体重, 体重/身長比, BODY MASS INDEXと骨塩量の間に正の相関を認め, 腰椎骨塩量より大腿骨頸部骨塩量の方が高い相関を示した.つまり“痩せ”は, 骨粗鬆症の危険因子であり, 腰椎より大腿骨頸部において関連性が大きいことが示唆された.骨粗鬆症患者50例において骨塩量と血中骨代謝マーカーの関係について検討したところ, 有意な相関を示すものはなかった.以上より, DEXA法による骨量測定法を用いることにより, 骨折閾値に骨塩量が到達する以前に急激な骨塩量減少者 (rapid bone loser) を早期発見できれば, 早期予防が可能であり, また今後さまざまな骨粗鬆症の危険因子を検討する際, 有用と考えられた.DEXA法を用いた本研究により, 骨粗鬆症の診断・予防が客観的に評価できることが十分可能と考えられた.
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