昭和医学会雑誌
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男性不妊症におけるClusterin (SP-40, 40) に関する研究
金 正民劉 滬隆小橋川 啓坂本 英雄渡辺 政信吉田 英機三浦 南虎戸部 敞冨田 基郎
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1996 年 56 巻 2 号 p. 133-139

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抄録
1993年10月から1994年6月までの間, 当教室不妊外来を受診した男性不妊症患者88例を対象として, 「Sandwich ELISA」法により血清中および精漿中clusterin濃度を測定, 比較検討するとともに射精後精漿中濃度の経時的変化およびその原因について検討を行い, 以下の結果を得た.1) 血清中clusterin濃度はnormozoospermia (N群) , oligozoospermia (O群) , idiopathic azoospermia (IA群) , obstructeda zoospermia (OA群) の各群間での比較では有意差が認められなかた.2) 射精後, 精漿中clusterin濃度は時間経過とともに低下し, 精子の有無に関わらず全症例および各群でもいずれも有意な経時的低下を示した.しかし, N, O, IA, OA各群間での濃度の経時的変化の比較検討では有意差が認められなかった.3) 全症例における精漿中clusterin濃度は射精後30分では5.9倍, 1時間では3.5倍, 2時間では2.5倍と血清中濃度よりかなり高い濃度を示した.4) 精漿中におけるclusterin濃度とIgG濃度の経時的変化の比較では有意差が認められなかった.以上の結果より, ヒト精漿中clusterin濃度の経時的低下の理由は補体成分とのcomplex形成によることも考えられるが, clusterin自体の分解あるいは他の物質とのcomplex形成の可能性も否定できず, その機序については今後の検討が必要である.
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