昭和医学会雑誌
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大腿骨軸写撮影法の基礎的および臨床的研究
脇田 正実
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1996 年 56 巻 2 号 p. 140-152

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抄録
大腿骨頸部前捻角計測には種々なる方法があるが, 大腿骨頸部前捻の角度 (以下前捻角と略す) すなわち, 骨頭頸部を含めた大腿骨近位端の捻転を正確に計測するには, 大腿骨軸に垂直に投影された像を計測する方法がその定義からも最も正確な方法といえる.軸写撮影法は, 大腿骨骨幹軸方向にX線を投影してえられた像をもって計測する方法である.この方法は, 昭和大学藤が丘病院放射線科技師長鍵田により開発されたものであり, 患児を測定台に腰掛けさせ大腿骨軸に対し, 中枢を高くして撮影を行い, 大腿骨近位部は希土類増感紙にて増感され, 膝顆部はフィルムの前後に黒紙を重ねてフィルムが増感されないようにして中枢と末稍が同時に読影可能とした方法である.各種存在する現行の撮影法の中では唯一膝顆部を投影する方法で, 前捻角の基準となる膝窩部後方に接線を引くことができる.この接線と骨頭中心と大腿骨近位骨幹部中央を結んだ直線 (頸部軸) とのなす角にて前捻角計測を行う.したがって本方法により前捻角を正確に計測するためには撮影に際し大腿骨近位骨幹部の骨髄腔が, 正確に大腿骨近位骨幹軸方向に一致してX線投影されることが絶対的条件である.著者はこの点について小児33例40大腿骨の側面X線写真を用いて, その大腿骨前彎と全長を計測し, X線が大腿骨近位骨幹軸に入射される角度について検討を行い最適な撮影条件を設定した.その結果管球焦点被写体距離を1mとし大腿骨骨幹軸の近位端を10°高く傾けて撮影したとき, 大腿骨近位骨幹部の骨盤腔が, 正確に大腿骨近位骨幹軸方向に一致してX線投影されることが確かめられた.この時10度, 中枢を高くして撮影しており, このための補正を行い, さらに理論的補正値と実測値について実際に成人大腿骨について撮影し補正表の確認を行った.これにより基礎的に理論的正当性を確認ができた.臨床的応用として実際に本方法により前捻角計測をおこなった症例は, 62例であり, 同時に測定した甲斐法, およびRippstein法による計測法との比較検討を行った.大腿骨軸写撮影法の臨床応用に際しそのX線被爆量について, 男児および女児について, 推定計測を行った.
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