昭和医学会雑誌
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口唇口蓋裂症例における耳介付着線・鼻梁線・耳介長軸の成す角度についての計測学的研究
鈴木 啓之
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1996 年 56 巻 2 号 p. 153-167

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抄録
各種裂型の口唇口蓋裂群に対し, 耳介付着線・鼻梁線・耳介長軸の成す角度を計測した.研究対象は片側唇裂702例, 片側口唇口蓋裂30例, 両側唇裂・両側口唇口蓋裂19例であり, 計測時年齢は乳児から成人までを含む.結果: 1) 耳介付着線と鼻梁線の成す角度については, 片側唇裂では思春期以降男子で角度が減少し女子では増加した.正常顎発育とは反対の成長パターンをとる.片側唇裂口蓋裂では, 15歳以降もっとも同角が小さく, 従来からの顎発育研究と類似している.両側唇裂では, 同角は片側唇裂につぐ大きさで正常群よりは小さい.両側唇裂口蓋裂ではさらに小さいが, 片側唇裂口蓋裂より大きく, 従来からの顎発育研究と類似している.2) 耳介付着線と耳介長軸の成す角度は, 正常群の約8度より唇裂合併群が10~12度で常に大きい.これは白人唇裂患者の耳形態と一致し, 唇裂患者での耳形態の特徴である.以上から口唇口蓋裂症例では, 耳介付着線と鼻梁線の成す角度は正常群と異なり, 裂型による顎発育の特徴を示していると考えられた.また, 耳介付着線と耳介長軸の成す角度が正常より大きいが, これは唇裂症例の耳介形態の特徴である.
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