2003 年 21 巻 2 号 p. 449-454
ドーパミン(DA)神経は、中脳に細胞体を持ち、線条体、視床下部、下垂体、辺縁系、及び大脳皮質に神経線維を送る調節性の神経伝達系である。線条体は、主として運動の調節に関係しているが、精神機能にとって辺縁系や前頭、側頭葉におけるDA系がより重要である。PETを用いることで脳内のDA合成から、再取り込み、受容体等の各機能を独立して評価できるようになった。また、受容体結合能を指標としてDAの脳内分泌までも評価する試みが開始されている。こころの科学において重要と思われるDA機能の最近の研究成果を概括する。