昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
健常乳児の顔面正貌における水平方向および垂直方向の比に関する研究
廣松 直幸
著者情報
キーワード: 3カ月乳児, 顔面正貌,
ジャーナル フリー

1996 年 56 巻 3 号 p. 288-296

詳細
抄録
正常と思われる3カ月乳児148名 (男児78名, 女児70名) を対象とし, 顔面規格写真撮影を行い, その正貌において, 水平方向および垂直方向の距離を計測し, その間の比を検討した.撮影した写真は35mmスライドとし, コンピューターに画像データとして入力, 目, 鼻, 口唇を中心として8の距離を計測した.この計測値とそこから導き出される6の比に対し, 基本統計処理, および男女間の統計的有意差の検定を行った.その結果距離において, 水平方向では顔幅, 外眼角幅が, 男児の方が有意差をもってそれぞれ平均値で6.1mm, 3.1mm大きかった.その他の内眼角幅, 鼻幅, 口裂幅に有意差はみられなかった.垂直方向では計測した距離, 眼―鼻, 鼻―口, 口―オトガイ距離のいずれにも有意差が認められたが, その平均値の差はどれも1mm未満で臨床的に男女差はないと考えられた.その比においては, 水平方向で, 内眼角幅: 鼻幅: 口裂幅=1: 1: 1としてよいと思われた.又, 顔幅: 外眼角幅=1.6: 1で黄金分割に非常に近似していた.外眼角幅は口裂幅の2.3~2.4倍であった.垂直方向では, 眼―鼻距離: 鼻―口距離=1.6: 1, 口―オトガイ距離: 鼻―口距離=1.5: 1となっており, おおまかに黄金分割に従っていると思われた.
著者関連情報
© 昭和医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top