抄録
正常と思われる3カ月乳児148名 (男児78名, 女児70名) を対象とし, 顔面規格写真撮影を行い, その正貌において, 水平方向および垂直方向の距離を計測し, その間の比を検討した.撮影した写真は35mmスライドとし, コンピューターに画像データとして入力, 目, 鼻, 口唇を中心として8の距離を計測した.この計測値とそこから導き出される6の比に対し, 基本統計処理, および男女間の統計的有意差の検定を行った.その結果距離において, 水平方向では顔幅, 外眼角幅が, 男児の方が有意差をもってそれぞれ平均値で6.1mm, 3.1mm大きかった.その他の内眼角幅, 鼻幅, 口裂幅に有意差はみられなかった.垂直方向では計測した距離, 眼―鼻, 鼻―口, 口―オトガイ距離のいずれにも有意差が認められたが, その平均値の差はどれも1mm未満で臨床的に男女差はないと考えられた.その比においては, 水平方向で, 内眼角幅: 鼻幅: 口裂幅=1: 1: 1としてよいと思われた.又, 顔幅: 外眼角幅=1.6: 1で黄金分割に非常に近似していた.外眼角幅は口裂幅の2.3~2.4倍であった.垂直方向では, 眼―鼻距離: 鼻―口距離=1.6: 1, 口―オトガイ距離: 鼻―口距離=1.5: 1となっており, おおまかに黄金分割に従っていると思われた.