昭和医学会雑誌
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56 巻, 3 号
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  • 鬼塚 卓彌, 佐藤 兼重, 石川 正, 林 隆士, 吉川 厚重, 上村 哲司, 小住 和徳
    1996 年 56 巻 3 号 p. 239-249
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    頭蓋骨の先天性変形としては構成骨単独あるいは症候群の一症状として来る場合があり, その変形にもいろいろなタイプがある.著者らは1981年来過去40例の頭蓋骨変形の治療を行ったが, その中の代表的症例として, 短頭, 塔状頭蓋, Saethre-Chotzen症候群, 尖頭症, Apert症候群, 三角頭蓋, 斜頭症, 舟状頭, clover leaf skull syndrome, を取り上げ, その治療法を述べるとともに, 若干の文献的考察を行った.
  • 斎藤 昌美, 三川 信之, 大塚 靖, 石川 正
    1996 年 56 巻 3 号 p. 250-255
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 三次元動作解析システム (Motion Grabber System) を用いて, 術後唇裂患者と健常人の口唇動態を解析し比較検討することによって若干の知見を得たので報告する.被験者は鬼塚法にて再建・修正を行った, 術後6カ月以上経過した完全片側唇裂患者10名と, 対照として健常人10名である.測定点は鼻先部, 上口唇中央部, 左右Cupid's bowのピーク, 左右口角部, 下口唇中央部, オトガイ中央部の計8点とした.口角牽引と口唇突出を一定の速さで3回行わせて, この一連の運動における各測定点の動きを毎秒6回計測した.得られたデータを本システムにより軌跡表示した.また, 各測定点の軌跡長を算出し検討した.その結果, 唇裂患者は健常者と比較して, (1) 左右のCupid's bowが非対称性の動きを示した. (2) 下口唇の移動距離が大きくなる傾向がみられた. (3) 左右口角部の動きは, 健常者同様左右対称性を示した.これらのことより本システムによって, 術後唇裂患者の口輪筋機能の一部を評価することが可能であると考えられた.
  • 木村 直弘
    1996 年 56 巻 3 号 p. 256-264
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は鼻の形態解剖学的研究により標準的な鼻形態モデルを作成することを目的としている.そのため, 過去に顔面外傷, 及び顔面手術の既往のない日本人女性100人を対象として規格写真撮影を行い, 撮影された写真をもとに鼻形態, 特に側面形態について各計測点の測定を行い, 得られたデータをもとに鼻形態に関する変数を導き出した.これらの変数を用いて, 基本統計量と任意の2変数間の相関係数を求め, 相関が認められた組み合わせを抽出し, 2変数間の単回帰式を求めた.さらに2つ以上の変数との相関が認められた変数については, 各々重回帰分析を行い, 重回帰式を算出した.以上の基本統計量, 単回帰式, 重回帰式を用いることにより, 鼻形態の標準的なモデルが作成可能となった.
  • 石川 大樹
    1996 年 56 巻 3 号 p. 265-272
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    膝関節における半月板の機能的役割が明らかになるにつれ, 半月板損傷の治療に際して損傷半月板の温存が重要であることは諸家の一致した意見であり, 血管が分布する半月板辺縁部での損傷に対して, 今日では半月板縫合術が積極的に行われるようになった.しかし, 修復された損傷半月板が機能的にも正常化するかどうかは不明な点が多い.また, 半月板には神経分布もあると言われているが, 諸家の文献はまちまちであり, 一致した意見がない.そこで今回我々は, 微細血管および末梢神経線維を同一切片上で同時に観察できるneurovascular double staining法 (以後NVDS法と略す) を開発し, イヌ膝関節の半月板における神経線維と血管の分布を観察した.また, 人工的に内側半月板辺縁部損傷を作製した後, 半月板縫合術を行った雑種犬18頭を術後2, 4, 6, 8, 12, 24週で屠殺し, 半刀板辺縁部において断裂された神経と血管の修復過程を, NVDS法をもちいて経時的に観察した.正常半月板では血管は半月板辺縁部より1/2~1/3程度まで内側へ分布していた.しかし神経は1/5程度内側までしか分布していなく, またその数も極めて少なかった.なお神経終末は全て自由神経終末であり, mechanoreceptorは存在しなかった.半月板修復過程において血管系の再生は術後約6週でみられたが, 神経線維の再生は術後24週までみられなかった.NV-DS法は, 半月板の神経・血管分布および両者の相互関係を検索するのに有用な方法であることが実証された.また, 辺縁部断裂縫合後の修復半月板は短期的には完全に再生されていないことが明らかとなった.
  • ―下顎角部突出について―
    蓮見 俊彰
    1996 年 56 巻 3 号 p. 273-287
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    下顎角部突出症 (いわゆるえらが張っている状態) は東洋人に多く, 下顎骨の変形および咬筋肥大が原因であるが, その評価は主観的な部分が大きく現在までのところ診断基準が定まっていない.そこで下顎角部突出症を客観的, 数量的に評価することを目的に, 日本人成分男女169人 (男性80人, 女性89人) の正貌顔面規格写真を撮影し, 5人の第三者によるアンケート調査を行い男性10人 (12.5%) , 12顎 (7.5%) , 女性14人 (15.73%) , 18顎 (10.11%) の下顎角部突出者を選出した.対照として男女各15人の正常者を選出し計54人の正貌顔面規格写真をパーソナルコンピューターに取り込み, 独自の方法にて写真上に15の基準点を設け正貌顔面規格写真上での下顎角部最突出点を規定した.これらの基準点をもとにコンピューターソフトを用いて18項目の基準点間の距離13項目の距離の比, 11項目の角度を計測し, 男性対女性, 下顎角部突出者対非突出者等につき危険率5%で比較検定を施行した.また, 得られた平均値をもとに各群の投射図を作成し, おもに下顎角部最突出点の位置的相違, 顔面下1/2の下顎輪郭の相違について考察し, 以下の結果を得た. (1) 男女差として顔面下1/2において女性の顔面は男性より全体的に小さく, やや横長で下顎角部を中心として下方に膨らみが強いが, それ以外は基本的にほぼ同じ形態であった. (2) 男性では下顎角部非突出者に比べて下顎角部突出者は, 下顎角部最突出点が外下方特に外側よりに位置しており, さらに顔面下1/2が縦方向に短く横方向に長いやや扁平な形をしている.すなわち, 下顎角部の変形のみならず顔面形態そのものにも違いが認められた. (3) 女性では下顎角部突出者の下顎角部最突出点は男性と同様下顎角部非突出者に比して外下方特に外側よりに位置しており, 顔面下1/2の形態は男性の場合と違って下顎角部非突出者, 下顎角部突出者間に差はなかった.
  • 廣松 直幸
    1996 年 56 巻 3 号 p. 288-296
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    正常と思われる3カ月乳児148名 (男児78名, 女児70名) を対象とし, 顔面規格写真撮影を行い, その正貌において, 水平方向および垂直方向の距離を計測し, その間の比を検討した.撮影した写真は35mmスライドとし, コンピューターに画像データとして入力, 目, 鼻, 口唇を中心として8の距離を計測した.この計測値とそこから導き出される6の比に対し, 基本統計処理, および男女間の統計的有意差の検定を行った.その結果距離において, 水平方向では顔幅, 外眼角幅が, 男児の方が有意差をもってそれぞれ平均値で6.1mm, 3.1mm大きかった.その他の内眼角幅, 鼻幅, 口裂幅に有意差はみられなかった.垂直方向では計測した距離, 眼―鼻, 鼻―口, 口―オトガイ距離のいずれにも有意差が認められたが, その平均値の差はどれも1mm未満で臨床的に男女差はないと考えられた.その比においては, 水平方向で, 内眼角幅: 鼻幅: 口裂幅=1: 1: 1としてよいと思われた.又, 顔幅: 外眼角幅=1.6: 1で黄金分割に非常に近似していた.外眼角幅は口裂幅の2.3~2.4倍であった.垂直方向では, 眼―鼻距離: 鼻―口距離=1.6: 1, 口―オトガイ距離: 鼻―口距離=1.5: 1となっており, おおまかに黄金分割に従っていると思われた.
  • 浅野 武雄
    1996 年 56 巻 3 号 p. 297-306
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ヒトの顔面において赤唇部は, 目, 鼻と並び顔貌を構成する大きな要素の一つである.口唇の形態計測は1922年大杉が日本人の口唇幅等について報告して以来, 過去に多数の報告がなされている.今回著者は, 健康成人男女101名 (男性50名, 女性51名) の正面顔面規格写真を用い画像をコンピュータへ取り込み, 下口唇について各部の計測をした.また上下口唇の面積を求め, 長さや角度だけではなく2つのディメンションを用いたデータを解析して男女差, 年代差, 相関を比較検討した.男女間では, 下口唇赤唇部高径, 下口唇赤唇部最高径, 下口唇縁突出点高径, 上口唇面積, 下口唇面積が有意に大きく, 口裂幅径, ∠α (下口唇縁突出点と右口角点とのなす角) , 下口唇縁突出点と下口唇赤唇縁中点の距離, については有意な差がみられなかった.年代間について男性と女性おのおのの20歳台と30歳台の比較は, 男性の下口唇赤唇部最高径と下口唇縁突出点高径, 下口唇面積, 上下口唇面積比, ∠αについて年代問に有意な差があった.形による分類については, 下口唇赤唇部最高径が下口唇赤唇部高径に一致するものをV型, 一致しなおかつ幅のあるものをU型, 一致しないものをW型とし割合を調べた.U型: 21.78% (22人) , 男性18% (9人) , 女性7.8% (4人) , V型: 65.35% (66人) , 男性60% (30人) , 女性70.6% (36人) , W型: 12.87% (13人) , 男性18% (9人) , 女性78% (4人) となりV型が半数以上をしめた.本研究において, 近年の日本人の下口唇は, 男性の方が厚く面積も大きいが口裂幅径に男女差がなく, 過去の統計を参考にすると男性の口がいわゆる小さくなってきていると考えられた.
  • 今関 節子, 竹内 一夫, 横田 正夫, 神田 晃, 三浦 宜彦, 川口 毅
    1996 年 56 巻 3 号 p. 307-316
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    母性の発達段階を検討するために, 高校生, 大学生, 妊婦, 褥婦, 1歳半から3歳児をもつ母親 (以下幼児の母親) の各群を対象に母性のイメージについて27項目から構成された質問調査票を作成し調査を行った.数量化3類による解析の結果第一軸は「安定性」第二軸は「気楽性」第三軸は「独善性」の発達段階を測定しているものと考えられた.母親についてのイメージは, 「安定性」は母親の発達段階に応じて高校生・大学生では安定的に, 妊婦では最も安定的に, 出産後に褥婦は安定性が低下し, 幼児の母親は最も不安定な状況に推移した.「気楽性」は高校生・大学生では, 最も気楽で, 妊婦・褥婦で気楽性は失われ, 幼児の母親では両者の中間に位置した.「独善性」は高校生・大学生では母親は独善的とは考えておらず, 妊婦・褥婦はわずかに独善, 幼児の母親は強く母親は独善的と考えている方向に推移した.また, 第一軸から第三軸の総てにおいて幼児の母親は他の4群のいずれかとの問に有意の差が認められた.このことは幼児の母親の段階では「安定性」, 「気楽性」, 「独善性」において, 母親についてのイメージが特異的に変化していることを示している.さらに, 第二軸において高校生・大学生は「気楽性」を示すが, 妊婦・褥婦では有意に「気楽性」が失われ, 母性についてのイメージは大きく変化することが認められた.これらのことから, 母親についてのイメージを通じて捉えられた第一軸から第三軸に示された母親の性格特性は母性の発達度を表すことが明らかになった.以上, 成長過程における各個人のイメージしている母親に対する役割期待の尺度を測定し, 母親の発達段階を把握することにより, 今後母親に対する保健指導や対策の策定に必要な情報を得ることができることが期待される.
  • 中村 正則
    1996 年 56 巻 3 号 p. 317-325
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    関節軟骨マトリックス内のプロテオグリカン (以下PG) の含量及び分子の大きさ等は, 加齢や関節に対する負荷程度により大きく変化するとされている.またマトリックスを形成しているコラーゲンの高次構造もその機能に影響を及ぼすものと考えられる.しかし, PGの性状変化の詳細については未だ不明である.そこで, 末期変形性股関節症 (以下OA) 患者の大腿骨頭軟骨から抽出した遊離PGと会合体PGの含量, 分子量分布を大腿骨頸部内側骨折 (以下Fx) 患者と比較検討した.またコラーゲン抽出率についても検討した.さらにOAの中で, 軟骨変形の程度によるPGの性状変化についても検討した.
    調査試料としてOAの骨頭27個とFxの骨頭22個を用いた.試料遊離PGと会合体PGは, 骨頭よりそれぞれ抽出した後, 塩化セシウムによる平衡密度勾配遠心法により精製した.コラーゲンは, 残渣骨頭軟骨より酸性条件下でペプシン消化を行うことにより抽出した.
    またOAの中でも変形のより著明なものと比較的軽度なものに分けて同様の操作によりPGを抽出した.
    OA群ではFx群に比較して, 遊離PGの分子量は共に約70万と変化はなかったが, ウロン酸含量が2.5倍, 蛋白含量が1.8倍増大していることから, 代謝回転が亢進して会合能を持たない遊離PGがより多く存在していると考えた.会合体PGの場合, ウロン酸含量は類似していたが, 蛋白含量はFx群の方が1.6倍多く, そして分子量はOA群の方が2~3倍大きかった.またOA群のコラーゲン抽出率はFx群の約22倍と顕著に大きかったことから, OA軟骨は酵素消化に対する抵抗性が著しく低いことが示された.つまりOAにおいては, その軟骨の高次構造が粗になっていて, その広がったマトリックス内に大きな分子量の会合体PGが入り込んでコラーゲンと絡み合い軟骨機能を維持しているものと推測できた.
    OAの中でも変形の著明なものでは, 会合体PGの分子量は変形の軽度なものに比べて有意な変化を示さなかった, しかし, 会合体を形成していない遊離PGの含量及びその分子量には増加傾向が認められたことより, PGの代謝回転が亢進し, 遊離PGの分子量が大きくなり, その含量も増加して軟骨機能の維持に関与しているものと考えた.
  • 瀬戸 正子, 安西 将也, 三浦 宜彦, 川口 毅
    1996 年 56 巻 3 号 p. 326-336
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    群馬県某村の住民で, 平成5年度と平成6年度において, 老人基本健康診査を受診した結果, 肥満者 (BMI 26.5kg/m2以上) と指摘された者のうち, 肥満のための健康教育 (6回) を受講した者42名を対象とし, 同じく肥満者で健康教育未受講者ならびに, 非肥満で健康教育未受講者をそれぞれ42名ずつ, 性・年齢 (±2歳) をマッチさせて対照群として有意選出した.まず, 肥満・健康教育とライフスタイルとの関係について, χ2定を用いて検討した.次に多変量解析 (数量化I類) の手法を用いて肥満とライフスタイルの関係についてアイテムレンジとカテゴリースコアを抽出して検討した.更にMHLC (Multidimensional health locus of control scale) を用いて, 健康自己管理態度を「運命型」, 「支配型」, 「内在型」および「混在型」に分類し, 健康教育受講の有無と平成5年度と平成6年度の間のBMIの変化との関係について重回帰分析を行った.
    その結果, (1) 肥満・健康教育受講群は, 肥満・健康教育未受講群および非肥満・健康教育未受講群に比較してBMIの減少が著しかった. (2) 肥満・健康教育とライフスタイルとの関係については, 高血圧および1年間の病気の有無, ならびに健康自己管理態度について有意な差が認められた. (3) 肥満・健康教育のアイテムレンジ, カテゴリースコアでは, 生活のリズム, 健康自己管理態度, 心臓病及び職業が高い値を示した. (4) MHLCによる健康自己管理態度の型とBMIの変化との関係を肥満・健康教育の有無別に重回帰分析を行った結果「運命型」, 「支配型」, 「内在型」によってBMIの変化 (健康教育の効果) に対する寄与の傾向が異なることが示唆された.
    以上の結果より, 健康教育の受講行動やその効果を高めるためにはMHLCの型に応じた働きかけや健康教育の内容等の検討の必要性が認められた.
  • 福島 淑隆, 南沢 佐代子, 岩永 昌彦, 柴田 実, 小貫 誠, 三田村 圭二
    1996 年 56 巻 3 号 p. 337-341
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性.主訴は, 発熱, 嚥下困難, 精査治療のため入院した.入院時38℃の発熱および軽度の意識障害を認めた.血液生化学検査で, 炎症性反応の著明な亢進を認めた.胸部X線検査には右下肺野の肺炎像を認め, 上部消化管内視鏡検査では, 食道憩室を認めた.入院後DICを併発し急速に病状が悪化し死亡した.病理解剖所見より食道憩室の穿孔による縦隔壁瘍と診断した.食道憩室の穿孔はまれであるが, 今回の症例のように重篤な合併症をきたすことがあり報告した.
  • 工藤 葉子, 藤谷 哲, 渡辺 尚彦
    1996 年 56 巻 3 号 p. 342-347
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Heerfordt症候群は, 耳下腺腫脹, 顔面神経麻痺, ブドウ膜炎に微熱を伴う症候群で, サルコイドーシスの一亜型とされる比較的まれな疾患である.自験例の症例を呈示すると共に, 本症候群について若干の文献的考察を加えて報告した.症例は27歳の女性.右顔面神経麻痺を主訴に来院.既往として左顔面神経麻痺, ブドウ膜炎を有しており, ブドウ膜炎については眼科にて治療中であった.来院時, 左耳下腺腫脹を伴っていたが, 顔面神経麻痺に対しステロイドの点滴治療を行ったところ, 麻痺の改善と共に消失した.その1カ月後, 両側に耳下腺腫脹が出現した.CT, MRIにて耳下腺内に明らかな腫瘤性病変は認められず, 画像診断上は炎症もしくは肉芽腫性の疾患が疑われたため, 耳下腺の生検を行った.病理学的には, 乾酪壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫を認めることからサイコイドーシスとされ, 臨床症状よりHeerfordt症候群と診断された.内科的には活動性の病変を認めなかったが, 耳鼻咽喉科的には, 顔面神経麻痺の再燃を認めたため, 再度ステロイド投与を行い経過を観察している.
  • 里吉 研, 小西 一男, 秋田 泰, 吉川 望海, 三田村 圭二
    1996 年 56 巻 3 号 p. 348-351
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は58歳男性, 肝硬変の診断のもとに他院通院中であったが平成2年11月吐血を主訴に当院救急センターを受診した.緊急内視鏡検査にてR-C sign (+) の食道静脈瘤を数条認め, その一条より出血が確認された.エタノールアミンオレートによる食道静脈瘤硬化療法 (EIS) を施行し, 止血が得られた, 10日後の内視鏡検査でEIS実施静脈瘤に一致して縦走する黄色調の帯状隆起がみられ, その隆起上に食道粘膜が架橋上に残存していた.1カ月後の内視鏡検査で, 同部位には周辺粘膜と色調変化のない浅い陥凹面を認め, 食道粘膜が残存していた部位には陥凹面をまたぐように2本の粘膜橋 (mucosal bridge) 形成が認められた.これらの内視鏡所見の経過観察より, EISによる粘膜下層の静脈瘤の壊死, 脱落に伴い食道粘膜の一部が残存しmucosal bridgeが形成されたと推定された,
  • 國分 二三男, 宮本 正秀, 松倉 聡, 野田 裕道, 堀越 正二郎, 徳永 久博, 金野 真一, 美田 俊一, 足立 満, 劉 俊昌, 弘 ...
    1996 年 56 巻 3 号 p. 352-354
    発行日: 1996/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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