抄録
巨大脳動脈瘤は全脳動脈瘤のわずか4%であり, 破裂症例は手術成績も不良であるため報告例も少ない.今回我々は, 杖歩行とわずかな麻痺は残したが無事退院した若年者破裂巨大脳動脈瘤の症例を経験したので報告する.
症例は24歳の男性.高度の意識障害 (E1V1M4) にて来院する.瞳孔は右2.5mm, 左5.5mmと不同を認めた.CTを施行したところ5×3×3cmの血腫を伴うくも膜下出血を認めた.DSAでは, 血腫に一致して30×28mmの巨大脳動脈瘤を左中大脳動脈分枝部に認めた.DSA終了後, 左瞳孔がさらに散大傾向にあったので同日緊急手術を施行した.脳浮腫は予想通り高度であったがSTA-MCAバイパス術を行った後無事クリッピングを施行した.術後も脳浮腫との戦いであったが, 高圧酸素療法を併用することで脳圧コントロールも可能となつた.患者はリハビリ病院に転院したが, リハビリ終了時にはE4V5M6まで意識レベルも改善した.
本論文では, 稀な若年者破裂巨大脳動脈瘤の一治療経験を報告するとともに, 術前造影CTが動脈瘤のneck確認に有効であったこと, また術後の脳圧コントロールに高気圧酸素療法がきわめて有効だったことを報告するとともに併せて文献的考察を加えた.