生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
整形外科手術における新たなターニケットの開発 ~駆動源の検討~
武井 裕輔山口 天志前田 浩行諸橋 達神田 章男岩瀬 秀明金子 和夫前田 睦浩寺阪 澄孝下大川 丈晴三井 和幸
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S138_2

詳細
抄録

本研究の目的は患者へのダメージを軽減可能なターニケットの開発である。ターニケットとは整形外科手術中に出血防止のため手術箇所近傍をカフで圧迫し、止血する医療機器である。このターニケットは圧迫部へのダメージが大きく、後遺症のリスクがあるという問題を有していた。これに対し我々は、酸素飽和度を指標に止血状態を評価し、止血圧力の微調整でダメージを低減できる可能性を見出したが、現在使用されている空気圧式ターニケットでは、止血圧の微調整が難しく、この手法の適用は困難であった。そこで本研究では絶縁性液体に電圧を印加することで流動が発生するEHD現象に着目、この現象を駆動源として利用するためのEHDポンプを開発し、これを利用した、電圧によって止血圧の微調整が可能な新たなターニケット(EHDターニケット)を開発した。このEHDターニケットは電圧の調整のみで止血圧を調整可能という当初の目標を達成できたが、手術での使用において重要視される止血開始までの立ち上がり時間については未考慮であった。そこで今回、駆動源であるEHDポンプの構成の改良及び、新たな構造のカフの開発を行い、その改善を図ったのでその結果について報告する。

著者関連情報
© 2019 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top