2019 年 Annual57 巻 Abstract 号 p. S72_2
血液透析療法とは、ダイアライザ内において拡散、限外濾過の原理を用いて血液中の不要物質を透析液へ移動させる治療法である。透析液は、患者監視装置とダイアライザを接続することによってダイアライザに供給される。しかし接続部分である透析液入口と透析液出口が同じ形状をしているため、誤装着の可能性がある。誤装着によってダイアライザ内における血液と透析液の流れが同じ(並流操作)方向になるため、透析効率(クレアチニンクリアランス:CL)が低下すると報告されているが、モデルを用いた検証は行われていない。本研究では、並流操作モデルを提案し、透析液流量を変化させたときのCLを推定し、検証実験を行うことでモデルの妥当性を評価した。検証実験は血液流量を200[mL/min]、透析液流量を350[mL/min]、500[mL/min]、550[mL/min]の3種類で行った。透析液流量を変化させた時のCLの誤差は0.60[mg/min]、0.64[mg/min]、0.61[mg/min]であり、一定の誤差であった。その結果より、モデルではクレアチニンの移動を拡散現象のみで提案したが、圧力差による物質の移動を考慮する必要があることが示唆された。