抄録
焼却残渣中の多環芳香族炭化水素(PAHs)の含有量分析は,有機溶媒抽出によるものが一般的であるが,分析結果はその回収率に依存すると考えられる.本研究では3種の底灰に11種類のサロゲート物質を初期添加し,それぞれ3種類の溶媒(acetone/hexane:A/H, dichloromethane:DCM, toluene/methanol:T/M)を用いてソックスレー抽出を行い,回収率の比較を行った.さらに,回収率に影響を及ぼす固相マトリクスとしてTOCを想定し,TOC量が回収率に影響を及ぼすか議論を試みた.結果として,naphthlane-d8やacenaphthene-d10では抽出後の濃縮やクリーンアップでの損失の少ないA/H抽出が有効であり,一方,chrysene-d12以上の高沸点のPAHsに対してはT/M抽出が有効であった.DCMやA/H抽出では,TOCの異なる灰種間で回収率に差が見られ,特にDCM抽出では最もTOCが大きかった灰試料では著しく回収率が低下した.一方,T/M抽出では灰での差異は小さかった.