抄録
多様な製品に用いられている鉛は、他の金属よりも有害性が高いため、使用規制政策が取られ、また、国際移動する使用済み鉛含有製品の不適切な取り扱いによるアジア諸国における汚染の問題が指摘されてきた。そのため、鉛の国際移動も考慮した鉛のリスクを定量化するためには、アジア諸国での環境中への排出量の評価が重要となってきている。これまでアジア諸国においては、鉛という物質に注目して鉛含有製品全体のフローを取り扱った研究はない。また、アジア諸国における鉛のリスク評価の研究もない。産業技術総合研究所では、化学物質のリスク評価に取り組んできており、2006年には既存データを活用して日本国内における鉛のフローを解析し、環境中への鉛の排出量を推定し、鉛の詳細リスク評価書を出版した。本研究ではこの評価書で用いた手法を基本としてアジア諸国における鉛フローを推定する手法を開発し、タイ、フィリピンにおいて鉛フローを推定した。