抄録
途上国においては、リサイクルが盛んに行われているが、回収量や再生ルートなどが明らかでなく、また森林保護が主要な環境問題にも関わらず、ダンボール素材に木材パルプが多く使用されているなど、リサイクルが必ずしも環境に十分に寄与していない懸念がある。こうした状況は、わが国の1950年代半ばにも共通していた。その後のわが国におけるリサイクルの経過を、古紙についてたどった結果、古紙の高い利用率は主に (1)第二次大戦直後の国の山林保護施策、(2)オイルショックに対する企業の生き残り努力、(3)バブル経済期以後の行政主導による回収、によって進展してきたと言える。また国、自治体、市民等が、それぞれの時期にも重要な役割を果たしたが、核となる製紙産業の存在なしには、高い回収率、利用率を長期的に形成維持できなかったことも確かである。