抄録
鳥取県の8海岸で7年間の撤去を伴う漂着ごみ調査を毎月行い,河口から調査地までの距離とそこでの由来地別漂着量について分析した。河口近くでは日本ごみが多く,外国ごみは少ない。これは地元のごみを含む河川水が河口から扇型に海表面を広がる表流水効果で説明できる。日本ごみの量は河口からの距離にほぼ反比例するので,地元ごみと遠方からの日本ごみ量を推算できる。千代川流域圏では日本ごみの半分近くが地元由来となり,それは地名情報を印刷した漂着宣伝ライターの地名割合と一致した。この地域の漂着ごみは長崎から鳥取県の範囲から来るが,千代川流域圏の人口はその地域の約3%にすぎない。これは河口から流出した地元ごみが地元の沿岸域に滞留しやすいことを示す。ここで発見した浮遊ごみに対する表流水効果と沿岸域滞留現象は一般的と判断されるので,地元海岸の漂着ごみを減らすためには,地元からのごみの流出を防止することが最も重要である。