抄録
埋立地から流出してきた浸出水の水質を浸出水処理施設に送水する前段で,低コストで簡易な手法を用いて良質化するため,浸出水集水ピットに隣接して設置した循環桝に浸出水を循環させ,浸出水処理施設の汚濁負荷軽減化の可能性について検討した.その結果,①浸出水を循環桝表面に散水することで,夏季の気温が高い時期に栗石表面で浸出水が蒸発し,浸出水の年間発生量の約30~60%を削減できた.②約24ヶ月間浸出水を循環させたことでBOD,COD濃度を浸出水処理施設の排水基準値近くまで低下し,窒素成分に関しては硝化・脱窒反応の可能性が示唆された.③分解率はBODが38%,CODが38%,T-Nが33%であった.以上のことから浸出水処理施設に送水する前段に水質を良質化し,浸出水処理施設の生物処理,凝集沈殿処理の負荷が軽減され,同時に維持管理の負担軽減が可能であるということが示唆された.