抄録
本研究は堆積物の資源性の判断に資することを目的とし、その再生資源としての特性と有害性を把握すると同時に津波堆積物の起源の推定についての検討を進めている。本報では、シルト割合を指標に堆積物の利用性の評価を行い、シルト割合と相関を持つ金属の組成から堆積物の起源の推定を行った。
Mn, Co及びPbの組成比による堆積物の起源推定を行った結果、鮫浦湾後背地堆積物は海底質と近い組成を示すものと異なる組成を示すものがみられた。金属組成とシルト割合、及びILに基づくHCAの結果、S2~5の堆積物の大半は海底質由来であるが、S3およびS5に一部由来の不明瞭な堆積物が見られた。またS1には海底質以外に由来する堆積物が見られた。堆積物は底質由来、由来不明、及び底質以外由来の3グループに分類されたが、各グループにおけるシルト含油量、E.C.及びI.L.については差は認められなかったことから、その資源性に大きな差はないと判断された。