抄録
本研究では、東日本大震災に関連した津波により農地が受けた被害について定量的な把握を行うとともに、新たな除塩法を提案することを目的とした.仙台平野沿岸部の水田地帯を対象サイトとし、土中の可溶性塩分含有量と降水による洗い流し効果について論じるとともに現行の除塩作業の有効性に関しても考察を行った.水田表層にはAs等の重金属を含む津波堆積物(ヘドロ・砂)が堆積し、2011年7月時点ではそれらに高い濃度の塩分の集積がみられた.その後表層の塩分は降水によって耕作土下方に移動していったが、2012年9月時点で塩分は依然地下50cm以下に存在していた.現在仙台平野耕作地で主に行われている、重機による表層土壌の除去・集積は塩分除去としての効果は薄く,嫌気性条件化にあった重金属を濃集させ溶出しやすくするといったことが懸念される.また、被災地近傍で産出する火山灰土壌には土壌浄化剤としての性能が期待できる。