抄録
生ごみ処理機用として生分解性プラスチックの一種である、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)製のごみ袋が市販されている。しかし、実際のコンポスト反応槽内では分解が遅いという報告がある。そこで本研究では、コンポスト中においてPBSAを早期に分解する方法として、微生物添加を目的とした戻し堆肥の植種が有効ではないかと考えた。本研究における戻し堆肥とは、一定温度で培養後PBSA分解が行われているコンポストを植種源として、新しいコンポスト化反応系に植種することをいう。その結果、戻し堆肥を植種することで、PBSA分解の立ち上がりが早くなることが明らかとなった。さらにPBSA分解細菌純菌株を植種した時に比べ、戻し堆肥を添加した方がよりPBSAが分解されることが確認された。すなわち、特別な微生物を培養・植種する以外にも、簡便で低コストな戻し堆肥の植種でも、PBSA分解を促進させる効果が得られることが明らかとなった。