抄録
製糖行程で発生する廃糖蜜から回収される暗色物質(DM)の特性解析を行い、DMが金属結合活性を持つことを見出した。現在、植物と共に金属結合剤などを添加し土壌の重金属の易動性を高めることによる効率的なファイトレメディエーション(PR)が研究されている。DMのPR促進剤としての可能性を検証する為に、本研究ではDMとPbを含んだ寒天培地でアブラナ科の植物の栽培をおこなった。結果として、DMを添加した場合はバイオマス量が増加した。キカラシナに関しては、DM濃度の増加に従って植物体中のPb濃度が増加した。Pb濃度100 μMかつDM無添加の条件のキカラシナのPb蓄積量は38.4 μgだったのに対し、Pb濃度100 μMかつDM濃度が500 mg/Lの条件のPb蓄積量は163.2 μgとなり約4倍に増加した。農林20号アブラナや野生のセイヨウアブラナに関してもDMの添加によってPb蓄積量が増加した。