抄録
本研究では、Csを含有する焼却主灰を、埋立地内で起こりうる風化変質を加速する条件下に暴露し、焼却灰の変質とCsの溶出挙動を追跡した。風化加速条件として、ブランク(窒素雰囲気下)、乾燥/湿潤、凍結/融解、CO2ガス暴露の4条件を設定した。Csの溶出は、ブランクでは変化しなかった。CO2暴露系では急激な溶出量の減少がみられ、2週でほぼ検出限界に達した。XRDによる分析からcalciteの生成が確認され、それが焼却灰を覆うことでCsの溶出が抑制されたと考えられる。乾燥/湿潤系、凍結/融解系では初期に溶出量の増加が見られたものの、次第に両系ともに減少傾向に転じ、最終的にブランクよりも少ない溶出量となった。溶出量の減少しは、乾燥及び凍結時に試料が大気条件下に曝されたために炭酸化が生じ、CO2暴露系と同様の現象が起こったためと考えられた。