抄録
ごみ焼却処理施設から発生した焼却飛灰中の放射性セシウムを効率的に分離濃縮し、かつ放射性物質を含む最終排出物を大幅に減容化できる処理システムを開発した。本システムでは、飛灰を水で洗浄して放射性セシウムを抽出し、クラウンエーテルを担体に担持した分子認識吸着剤を用いて洗浄水から放射性セシウムを分離除去する。飛灰洗浄水にはセシウムの他にナトリウム、カリウムが高濃度で含まれているが、本吸着剤はセシウム選択性が高いため、ゼオライトを用いた場合と比較して5倍以上のセシウムを処理できた。その上、本吸着剤は繰返し使用することができるため、放射性物質を含む最終排出物が処理前の焼却飛灰の100分の1以下に減容化される。さらに、本システムで濃縮したセシウム液をゼオライトで処理した場合、本システムを用いない場合と比較して200倍以上のセシウムを処理できる。