抄録
告示13 号試験におけるろ紙の材質が金属類の定量値に与える影響について検討を行った。検討に使用した試料は、ばいじん、下水汚泥焼却残さ、下水汚泥である。本研究では、ろ紙の材質の影響のみを評価するために、遠心分離操作後の溶出液約450 mL を500 mL 容器に移し入れて十分に混同した後、40 mL程度ずつ分取し、孔径1 μm のろ過材(ガラス繊維ろ紙、親水性PTFE メンブランフィルター、セルロース混合エステル製メンブランフィルター)を用いてろ過を行った。得られた溶出液をICP-MSを用いて分析し、約30元素の定量値を得た。本研究の結果から、告示13 号試験では溶出液中の元素の存在形態や夾雑物の影響を受けるため、ろ紙の材質により金属類の分析結果が大きく異なる場合があることが分かった。特に有機物を多量に含む溶出液を親水性PTFEフィルターでろ過する場合には注意が必要である。