抄録
わが国では、年間約1,800万トンの食品廃棄物が排出されており、可食部分と考えられる量は500万トンとも800万トンともいわれている。その中には食べ残しだけでなく、安全性や品質に問題はないのに、商品として流通できない食品(以下「流通困難食品」という。)が多く含まれている。これら流通困難食品を食品関連企業等から寄付してもらい、福祉施設や生活困窮者に配布するフードバンク活動がある。流通困難食品を有効に活用しているフードバンクと自治体が連携することで、生活困窮者等に食糧の提供や自立への支援を円滑に行うことができ、食品廃棄物発生抑制拡大を図ることが期待できる。両者の連携の可能性や問題点についてフードバンクや自治体の福祉関連部署の職員にヒヤリングを行い、ヒヤリングで得られた知見を述べるものである。