抄録
循環型社会の構築が求められている中で,各自治体の廃棄物の処理体系に関する調査を進め,特に,山元還元として注目されている溶融飛灰の取り扱いについて深く調査してきた.さらに,東日本大震災の影響により,放射性廃棄物等の問題から溶融炉は転換期を迎えている.本稿では,震災後初となる溶融施設のデータ収集であり,これまでの集計結果との比較検討を行った.結果として,震災が原因で停止した溶融炉を地方別で見ると,東北・関東地方での停止が目立つ結果となり,津波・地震による耐火物の落下等の外的損壊,停電あるいは夏季計画停電を配慮したことが停止の理由として挙げられた.また,全国的に多くはないが,施設ごとに受入廃棄物に対して放射能の基準値を設けている溶融施設もある.そこで,全国の放射線対策状況を調査したところ,東北・関東地方では検討,実施している施設があるものの全国的には未だに検討していない施設が多いことが分かった.