抄録
従前より国によるごみ処理の広域化が進められてはいるが、自区内処理の原則は根強く、現在でも中小規模の自治体において焼却施設が老朽化した際には、新規施設の建設が計画されることが多い。一方で、自治体の廃棄物発生抑制や分別・リサイクルに関する施策効果などから、可燃ごみの排出量は減少傾向を示しており、焼却施設の稼働率も低下しつつある。そこで本研究では、可燃ごみの収集と焼却処理を広域化した場合の、焼却施設の稼働率、エネルギー収支、温室効果ガス排出量への影響を定量的に比較するため、地理情報システムを用いたシナリオ分析手法を提案した。本研究では、事例として静岡県中部地域を挙げて、新規施設を設置するシナリオと、静岡県中部地域の6市2町で広域処理を行うシナリオを設定し、分析を行った。その結果、温室効果ガス排出抑制以外は、広域処理にメリットがあるか、もしくは新規施設とほぼ同じ効果が得られることが分かった。