抄録
日本の木質バイオマスの利用は十分ではない。それは難分解有機物質が多く含まれていることが原因である。そこで本研究では有効活用を目的として菌による木質バイオマスの分解・資化の実験を行った。使用する菌は廃水処理施設から採取した酵母菌S-4である。このS-4が木質バイオマスを分解・資化できるかを実験した。またS-4が分解・資化していた場合、S-4だけが分解・資化できるのかを判別できないため一般的な酵母菌として清酒酵母を使用し比較した。木質バイオマス以外の炭素源が存在しないように、二種類の無機塩液体培地を用意し、それぞれ培地のみと培地にワラ粉末とを加えたものにS-4と清酒酵母を植菌した。S-4はどちらの培地でもワラ粉末を加えた無機塩液体培地で増殖がみられ、また清酒酵母でどの培地でもほとんど増殖しなかった。このことからS-4は木質バイオマスを分解できる特別な酵母菌であることが分かった。