抄録
本研究はごみ有料化がもたらす歳出削減効果に焦点をあて、これまでに実施されたごみ有料化が地方自治体の財政負担に与えた影響について分析する。さらに本研究では、すべての自治体が限界費用に等しいごみ有料化をおこなった場合に実現可能な財政負担軽減額を推計し、今後、地方自治体においてごみ有料化導入を検討する際に有用な財政的視点からの評価方法を発展させる。分析の結果、有料化のごみ減量効果による歳出削減額と手数料収入による歳入額を含めると、生活系ごみ処理費用の約24%に相当する金額の財政緩和が達成されていることがわかった。さらに、有料化未導入自治体も含めたすべての自治体において、ごみ処理にかかる限界費用に等しい水準で有料化が実施された場合、一人あたり平均で約101kg/年の潜在的なごみ削減が期待でき、これによる潜在的な歳出削減率は約50%であることがわかった。